トヨタ初のBEV※1「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」が2022年4月発表され、5/12に発売されます。
この車、個人契約ではKINTOのみ取り扱いがある車種です!(購入不可能)
(※1:BEVとは、Battery Electric Vehicle バッテリー式電気自動車のこと。電気をバッテリーに蓄え、その電力でモーターを動かす仕組み)
日本は、カーボンニュートラル目標を2050年排出ガス実質ゼロを目指し、2030年新車販売台数目標のうちHV車を30~40%とし、乗用車は2035年までに電動車100%を実現しようとしています。
今回は、BEV「bZ4X」の特徴や車のサイズ感、バッテリー性能などを紹介します。
また同じプラットフォームを持つスバル「ソルテラ」との比較や日産「アリア」などとも比較しながら、価格と販売方法も含め詳しく紹介します。
Table of Contents
bZ4Xの特長
e-TNGAの考え方に基づくBEV(バッテリー式電気自動車)専用プラットフォームをスバルと共同開発し、トヨタ初採用したのがbZ4X。
- BEVの長所「なめらかで意のままダイレクトな走行性能」
- SUVの長所「力強い走破性」
これらを追求した形といっていいでしょう。
実用上十分な航続距離559kmを確保し、「電池容量維持率10年後90%」を目標に開発され、バッテリーの劣化を抑制しています。
個人ユーザー向け契約では「KINTO」のサブスクサービスのみです。購入はできません。
bZ4Xのサイズ(ハリアーやレクサスNXと同程度)
出典:https://toyota.jp/bz4x/
- 全長:4,690mm
- 全幅:1,860mm
- 全高:1,650mm
全長は、ギリギリ5ナンバーサイズの4,700mm以下で扱いやすさをアピールしています。
カローラクロスよりもひと回り大きなボディで、レクサスNXやハリアーと同等程度のボディサイズと言えるでしょう。
カローラ クロス |
レクサス NX |
bZ4X | ハリアー | |
全長 | 4490 | 4660 | 4690 | 4740 |
全幅 | 1825 | 1865 | 1860 | 1855 |
全高 | 1620 | 1660 | 1650 | 1660 |
走行性能と乗り心地
出典:https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/37136929.html
以下2つのポイントから、走行性能や乗り心地は「かなり優れている」といえるでしょう。
- 低重心である
- ホイールベースが長い
薄型大容量電池パックを床下・平置きで配置により低重心化を実現しており、高い走行安定性が確保されています。
また、着目すべきはbZ4Xのホイールベースの長さ。bZ4Xのホイールベースは2,850mmもあります。
ホイールベースが長い方が「走行安定性」や「快適性」に優れています。
引用:wikipedia
カローラ クロス |
レクサス NX |
bZ4X | ハリアー | |
全長 | 4490 | 4660 | 4690 | 4740 |
ホイールベース | 2640 | 2690 | 2850 | 2690 |
最小回転半径 | 5.2m | 5.6m | 5.6m | 5.5-5.7m |
bZ4Xは、
- ハリアーよりも全長は短い
- でも、ハリアーよりホイールベースは長い
(電気自動車ならではのシンプル構造により、ホイールベースの長尺化に成功)
ハリアーよりも160mm長いホイールベースで、長距離走行でも疲れにくい乗り心地を実現できていると言えるでしょう。
ホイールベースが長いと、曲がりにくいのでは?と思われるかもしれません。しかし、最小回転半径を比較してわかる通り、全くそんなことはありません。
bZ4Xは、電気自動車ならでは「ハンドルの切れ角を大きくできる」ため、小回りを実現できています。
さらに、スバルのAWD技術であるX-MODEをトヨタ車初採用しています。
普段使いから悪路走行まで、あらゆる路面で安定した走りを楽しめるBEVで、従来の期待以上の高い走破性を発揮するでしょう。
bZ4Xのバッテリー性能や電費
自宅の200Vコンセントからバッテリーの充電が可能です。付属の充電ケーブルとコンセントをつなぐだけで簡単充電!
充電時間は
- 200V 3kW(16A):およそ21時間
- 200V 6kW(30A):およそ12時間
参考:https://toyota.jp/bz4x/feature/
動力用主電池の総電力は71.4kWhで、先に市販されている日産リーフの62kWhを上回ります。
1回の充電での走行距離はWLTCモードで、
- 2WD:559km
- 4WD:540km
エアコン使用や気温により走行可能距離は影響されますが、日産リーフの実際の走行距離が、カタログ値走行距離の60%前後であることを考えても、330km以上は走行可能と予想されます。
電池容量維持率は10年後でも90%を維持することを目標に開発し、最長10年電池性能を保証しています。
後部座席の広さは?
薄型大容量電池パックを床下・平置きで配置していることから、室内への影響は極めて限定的と言えます。
後部座席は、通常のガソリンSUVであるハリアーと同等程度の足元空間が確保されていて、大人4人の移動ならストレスなく快適に過ごすことが可能です。
ルーフが尻下がりのクーペスタイルではなく、まっすぐにリヤゲートまで伸びているため、後部座席の頭上空間にゆとりがあります。
bZ4Xの荷室はハリアー並みの広さ
参考:https://toyota.jp/bz4x/feature/?padid=from_bz4x_top_fearture_charge#ft-charge
後部座席アリの状態で十分なスペースが確保されています。
一般的なガソリンSUVと同様の使い勝手が可能で、ハリアーなどと同等程度の収納力があります。
(ゴルフバッグも3個収納可能)
また、後部座席を倒すことでフラットな荷室が生まれます。ただし、シートバックを倒した部分の前方が若干高く完全にフルフラットとは言えません。
荷室幅は、ホイールハウスの形状の関係上、広い部分・狭い部分で30cm以上の差があり、車中泊に利用の際には工夫が必要です。
内装・インテリア
参考:https://toyota.jp/bz4x/feature/
解放感があるインテリアが特徴で、中央には12.3インチのディスプレイオーディオを装備し、ナビ及びT-Connect、ETC2.0ユニットなど必要な装備は全て装備します。
ハンドルの上半分が無い異形ステアリングホイールを中国市場向けから採用し、日本市場への展開は調整中の模様です。
bZ4Xの安全性能
「交通事故死傷者ゼロ」の実現に向けて、進化したToyota Safety Senseを採用されています。
ミリ波レーダー及び単眼カメラの検知範囲拡大により、安全性能を高めています。
あらゆる方向からの衝突に備えて、衝突時の入力荷重を複数経路に分散させるボディ構造を採用しています。
人間の命を守るだけでなく、キャビンや電池パックを安定的に保護することができます。
また、電池パックの冷却液漏れが生じても電池に冷却液が触れない設計や、万一ショートしても発火を防ぐ「高抵抗タイプの冷却液」を採用し安全対策も万全
電池の電圧・電流・温度を多重で監視し、異常発熱の兆候を検知し発熱を防止するなど、バッテリー式電気自動車特有の不安を解消しています。
bZ4Xのパンフレットにはより詳しく記述されています。
参考:bZ4Xパンフレット
【比較】bZ4Xvsライバル車種
bZ4Xと共通のプラットフォームを持つ「スバルのソルテラ」との違いや、同じSUVスタイルのBEV「日産アリア」「アウディQ4 e-tron」との違いをみてみましょう。
スバルソルテラとの違いは?
bZ4Xとソルテラは共通のプラットフォームを採用し共通パーツも多いのです。
相違点は
- 外観の違い
- 足回りのセッティングの違い
- 販売方法の違い
<外観の違い>
ソルテラは、スバルらしい六角形のモチーフがフロントに設計されています。ボディカラーもソルテラ専用色が用意されるなど違いがあります。
<足回り>
スバル独自のセッティングでAWDの制御技術を最大限活かせるセッティングとなり、bZ4Xとは異なります。イメージとしては、GR86とBRZの違いに近いものがあります。
ソルテラには、ステアバイワイヤー方式※2の設定は発表されていません。
(※2:ハンドルと前輪が機械的につながっておらず、ステアリング操作を電気信号に変換し操縦する方式)
<販売方法の違い>
bZ4Xの販売方法は個人リースのKINTOのみですが、ソルテラは通常購入やローンでの購入が可能です。
日産アリアとの比較
- パワー重視ならアリア
- 航続距離重視ならbZ4X
リーフでBEV販売実績がある日産。SUVタイプのBEVが「アリア」です。
5ドアクーペスタイルのスポーティなデザインが特長で、インテリアは一体感のある液晶パネルでシンプルに仕上げられています。
アリアのパワーは160kwでbZ4Xは150kwであることから、アリアの方がパワーがあります。0-100km/h加速はアリアが7.5秒、bZ4Xが8.4秒です。
一充電当たりの走行距離は、
- アリア:470km
- bZ4X:559km
航続距離重視ならbZ4Xが有利です。
なお、アリアB6の価格は539万円~であり、bZ4Xよりも61万円低価格で「購入も可能」です。
アウディQ4 e-tronとの比較
アウディが2022年1月発表したBEVのQ4 e-tronは、2022年秋以降の発売です。
ボディサイズはbZ4Xと同等サイズのSUVで直接のライバルといっていいでしょう。
バッテリー総容量は82kWhの欧州仕様です。1回の充電当たり航続可能距離は516kmとされています。
なお、バッテリー容量がbZ4Xより大きいことから、実際の航続可能距離は同等かQ4 e-tronが上の可能性も秘めています。
駆動方式は後輪駆動ですが、車両本体価格が599万円からであり、価格帯も同等である点も、注視すべきライバル車です。
bZ4X価格と販売方法(KINTO)
<販売方法>
bZ4Xは全車リース販売で、個人向けではトヨタのサブスク「KINTO」のみで提供されます。(購入不可)
通常のKINTOプランとは異なり「bZ4X専用プラン」で、最長10年の利用が可能です。
電気自動車の補助金を併用したプランで、月々のリース料に補助金割引が反映され、リース料が安くなります。
なお、4年未満で解約すると「中途解約金」が発生(※3)します。5年目以降は中途解約金を0として、月額利用料を段階的に引き下げるプランです。
(※3)参考:https://faq.kinto-jp.com/faq/show/2265?site_domain=bz4x
<KINTO価格>
- 予想:月額9~10万円程度
なぜこの価格を予想したか??
※22/5/3追記
申込金:77万円
1~4年目:88,220円~(CEV補助金適用の場合)
5年目:75,460円、以降1年ごとに段階的に引き下げ、10年目は48,510円
まず前提として、電気自動車のリセール価格はバッテリーの劣化問題もあり、正直良くはありません。
つまり、電気自動車は「中古で売却してもあまりお金にならない」という側面があります。
売却価格には期待できないので、ある程度リース料は高くなると予想されます。
勝手ながら、5年程度で車両代金を回収可能なリース料金の設定を行うのでは?と予想します。
なお、KINTOのリース料には、車両代金の他に
- 自動車税
- 車検費用
- 期間中メンテナンス費用
- コネクテッドサービスの利用料
- 自動車保険
これらが全て含まれます。より詳しくは以下記事を参考になさってください。
【簡単理解】KINTOの仕組み完全ガイド|任意保険が若者には格安!
KINTOでの価格予想についてですが、BEVの価格的メリットは
- 税制面で優遇されること
- エンジンオイルや冷却水が無く、消耗品が少ない
リース料でウエイトがあるのは、
- 自動車保険(約1~2万円相当/月)
- バッテリー劣化のリスク
上記が比重が高いと思います。
同価格帯のレクサス「RX300Fスポーツ」のKINTOの月額料金は約11万円(3年間・ボーナス払い無し)です。
レクサスSUVは中古車市場でも人気があり、残価が期待できる車種なので、この価格でもリース料は抑えられた価格だと言えるでしょう。
bZ4Xの場合、「補助金による減額」と「10年長期リースであること」など考慮し、月額9~10万円と予想します。(正解は1~4年目:88,220円~)
仮に月額10万円なら5年で600万円支払うことになります。
KINTOの利用料には、「税金・車検・保険」など全てコミコミではありますが、5年総支払額が車両代金分に相当します。
トヨタが「KINTOによるBEV」を本気で普及させるのであれば、残価を高めに設定し、6~7万円前後で提供して欲しい!という個人的な希望はあります。
いずれにせよ、正式発表を待ちましょう!
事前にKINTOのメリット・デメリットの確認もお忘れなく!
【網羅】KINTOのメリットとデメリット→高すぎ?いえ、実は安い